為萬世開太平

ばんせいのために たいせいをひらく

今年は大東亜戦争終結より八十年といふ年になります。
終戦に当たっては当時の政府や軍部の意見がなかなか纏まらず、昭和の陛下の御聖断によって決着したことはよく知られてゐます。
テレビドラマなどでも終戦の場面になると玉音放送の様子が描かれるのが定番のやうになってゐます。
その際、音声に流されるのは「耐え難きを耐え忍び難きを忍び……」部分で、玉音放送といふとこのフレーズが耳に付いてしまってゐるやうです。
この玉音放送の文章は、正式には「大東亜戦争終結に関する詔書」といふもので、陛下がご自身の声で直接全国民に伝達するべく、放送されることとなったものでした。
そして、この全文を通して読んでみると、重要な内容が多く含まれてゐます。
その代表的な部分は「新たに残虐なる爆弾を使用ししきりに無辜を殺傷」しとして、これは「民族の滅亡を招来するのみならず……人類の文明をも破却」するものとしてゐます。
これこそ核兵器の残虐性を国家元首の立場にある人物の公的な発言として発表された世界最初の文章となります。
そして戦争の惨害のみならず、敗戦後の苦難も計り知れないが、耐え難きを耐えて「萬世のために太平を開いて」ゆかねばならないとの覚悟を示されてゐるのです。
さらには「国体を護持し得て」「確く神州の不滅を信じ」、道は遠くとも「国体の精華を発揚し世界の進運に遅れざらむ事を期すべし」と結ばれます。
この結びの部分こそ、現代の不安定な状況において思ひ返してゆかねばならない重要な課題ではないでせうか。