四方拝

   年ごとに月の在ありどを確かむる歳旦祭に君を送りて

平成十九年歌会始お題「月」の皇后陛下(現上皇后陛下)の御歌です。

   星かげのかがやく空の朝まだき君はいでます歳旦祭に

昭和五十年歌会始お題「祭り」の皇后陛下(香淳皇后)の御歌も歳旦祭が歌はれてゐます

宮中では午前五時三十分に神嘉殿(南庭)において「四方拝」があり、引き続き宮中三殿での歳旦祭が齋行されてをります

陛下の新年最初のお仕事がこの「四方拝」なのです
庭上にて、伊勢の神宮と四方の国中の神々、そして山陵を遙拝されます

庭上での遙拝するといふ作法は、不躾な表現をお許しいただけば、いはば土下座のやうな形式での拝礼といふことにもなります。この形式に、天皇の祭祀の深い意義、国民のための祈りの本質を感じ取るべきでせう

四方拝の歴史は平安時代の記録に残ります
当時は陰陽思想の影響も強く、北辰を拝したのち、四方や属星の呪文を唱える作法などがありましたが、四方拝に先立ち鶏鳴があったとの記録もあります

瀬戸神社の新年行事の鶏鳴にもこんな宮中行事とのつながりが垣間見られます。昭和五十年の歌会始での昭和の陛下の御製は以下になります

   我が庭の宮居に祭る神々に世の平らぎをいのる朝々

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